小説を書く友人に憧れて

 

 

 

 

 

気づけば何か厚手のものを羽織らないと外出できなくなって、自販機のあったか~い缶のコーンスープがおいしい季節になった。

 

知り合いに会ったら一瞬困るくらいのどうでもいい服に特価で買ったアウターを着たあと、5周年を迎えたスニーカーで家を出る。

 

あてはないまま歩を進める。

 

思えば今朝のお天気お姉さんが「今日は前年と比べ暖かいでしょう」と言っていた気がする。

 

それなのになぜか、芯から、さむい。

 

冷たい風が吹く。

 

あの人は僕のスマホの中で笑っていた。

 

見たことない男と、見たことない笑顔で、屈託なく笑っていた。

 

スマホの画面はこんなにも小さいのに、僕からすればそこがたった一つの世界なんだ。

 

あなたがいればどんなところも世界になる。

 

そんな世界はもはや二次元になってしまって、手を伸ばしても届くことはない。

 

幻にいいねなんて押せるわけもなかったんだ。

 

なんでだろう。と声に出さずにつぶやいたら、温かい感触が左頬で一本の縦線を描いた。

 

今日があたたかいなんて、嘘だろう。

 

世界に取り残された僕は、空を仰いだ。

 

曇天。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜に酒を飲んでこんなものを書いてみたら後日どんな感情になるのか気になって書きました。

笑ってください。